HOME学科紹介情報工学科 環境電磁工学研究室 澁谷昇教授

環境電磁工学研究室

澁谷昇教授

NEWS

1

携帯はなぜ飛行機の中で使えないの?
  • Q
    なぜ、研究を?
  • A
    諸君は、電車の中で、携帯電話の使用を制限されたことがありませんか?特に優先席付近で。
あるいは、飛行機に乗ったとき、“携帯電話の電源を切ってください。離着時でのパソコンやオーディオ製品の使用はお控えください。“、といったアナウンスを聞いたことがありませんか?

これには、“電気・電子・情報機器の「電磁両立性」”が関わっているのです。

澁谷 昇_なぜ研究を?

「電磁両立性」とは、JIS(日本工業規格)のなかで、“装置又はシステムの存在する環境において、許容できないような電磁妨害をいかなるものに対しても与えず、かつ、その電磁環境において満足に機能するための装置又はシステムの能力”、と定義されています。

ということで、「電磁両立性」を確保するために、電気・電子・情報機器の回路を設計する際に、“どのように設計したら、「電磁ノイズ」を出さない機器ができるのか?”、“「電磁ノイズ」に強い機器を製造するための部品配置や配線の方法はあるのか?”等を研究するのが、私の研究テーマなのです。
  • Q
    どんな特徴があるの?
  • A
    特にこれといった特徴はありません。研究は、“電磁ノイズ(エミッション)の少なくなるような回路基板を設計して、実験を行い、設計の変更を繰り返しながら、電磁ノイズの少ない基板を探してゆく。”ことに尽きるわけです。
    また、国際規格で規定している“ノイズ試験(イミュニティ試験)”を回路や機器に適用し、回路や機器のどの部分が「電磁ノイズ」に弱いのかを調べてゆきます。

    私の研究は、ある意味、試行錯誤の連続なのです。図1(a)、(b)は、回路基板の片面に、グラウンドが“1部ある基板”と、“ない基板”の電磁ノイズ放射の例で、“ない基板”の方が、少しですが周波数の低い領域で放射が大きいのがよくわかります。
    (図の黄色の縦棒が放射されたノイズの大きさで、赤い横線は、それ以上放射があると製品として売ってはいけないという規制値です。)

澁谷-昇_どんな特徴があるの?_01

図1 (a) 上の基板(一部グラウンドあり)からの放射スペクトラム

澁谷-昇_どんな特徴があるの?_02

図1 (b) 上の基板(グラウンドなし)からの放射スペクトラム
  • Q
    どんな成果があがった?
  • A
    例えば、“ノイズエミッション測定”の分野では、機器や回路基板からの電磁ノイズの放出を計算できる電磁界ノイズシミュレータを活用することにより、ノイズ放射を予測できるシステムが構築されつつあります。
    我々のグループでは、ノイズの「モデル検討研究会」を設立し、“エミッションを少なくできる回路基板の設計”の検討を行っています。
    図2は配線のクロストークの計算と実験結果で、実験と計算がよく一致した例です。

    また、“ノイズイミュニティ試験”の分野については、電気・電子・情報機器に電磁ノイズを加えて誤動作が起こるかどうかを確かめる試験法が国際規格として開発・制定されています。それらの規格の開発・制定作業に参加し、国際会議の席上で我が国の意見述べています。さらに試験法の改良を進めるために、“実験や提案”を行っています。

澁谷 昇_どんな成果があがった?

図2 配線配置図と配線間のクロストークの計算結果(a)と実験(b)との例
  • Q
    今後の展望は?
  • A
    世の中には、数多くの電気・電子・情報機器、また、数多くの電磁波を放出する機器があふれています。その一方で、テレビや携帯電話などのように、電磁波を放射しなければ機能を果たせない機器も数多く存在します。そのような機器の“交通整理”をするのが、「電磁両立性」です。そのために、不要な電磁波を放射しない機器や、電磁ノイズがあっても誤動作しにくい機器の開発を目指す必要があるのです
用語解説

  • 電磁妨害(Electromagnetic Disturbance)
    電磁波や電磁界が、周囲の電子機器に妨害を与えること。
     
  • 電磁干渉(Electromagnetic Interference)
    電磁波や電磁界によって、周囲の電子機器などが妨害を受けること。 たとえば、電子レンジをONにすると、テレビが正しく映らなくなったり、ラジオが聞き取りにくくなったりすること。
     
  • 電磁ノイズ(Electromagnetic Noise)
    電磁雑音。音の雑音をノイズということから、電磁妨害を引き起こす電磁波などを電磁ノイズ と呼んでいる。
     
  • エミッション
    電磁波を放出すること。
     
  • イミュニティ
    電磁波によって機器が誤動作をしないようにすること。
     
  • 国際規格(International Standard)
    機器から放出できる電磁ノイズの限度値(許容値)や機器に電磁ノイズを与えた時に、どこまで耐えられるか、といった試験レベルなどを、国際的に決める約束事。 国際電気標準会議(International Electric Commission:IEC)で、各国の代表が集まり国際規格を審議、制定している。

TOOLS