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音響信号処理研究室

幹康教授

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生理的不快音に迫る!
  • Q
    なぜ、研究を?
  • A
    黒板を爪で引っ掻いてみよう。あのイヤな音は何なんだ?と思ったのがこの研究の出発点です。
こういう音は摩擦音と呼ばれ、摩擦振動によって発生する音です。その代表はバイオリンです。

バイオリンの演奏をイメージしてください。弓で弦を弾きますね?最初は、弦は摩擦によって弓に引っ張られます。弦の復元力が摩擦力を超えると弦は一気に滑り、再び弓にくっつきます。この2つの状態を「スティック」、「スリップ」状態といいます。これが繰り返されて一定の摩擦振動が起こり、美しい音が奏でられます。が、ヘタな演奏は聴くに耐えませんね。同じような現象として黒板を爪で引っかいた時に発生する音もあります。これも摩擦音です。同じ摩擦音でありながら何が違うのでしょうか?

幹 康_なぜ研究を?_01

幹-康_なぜ研究を?_02

  • Q
    どんな特徴があるの?
  • A
    摩擦振動を簡単に生成する方法として「ロジスティック写像」と呼ばれる数学モデルがあります。右の図のように、放物線と対角線との間を行ったり来たり繰り返すことで一定の波形が生成されます。ただ、このとき、下方向へ変化する時は一定の傾きを持つようにしました。これはバイオリンの弦の振動のようにスティック・スリップ現象を表現するためです。上の図は安定した周期振動となっています。ところが、放物線の高さが変化するとその振動は不規則な状態に変化します。これが「カオス」と呼ばれる状態です。この状態が不快な印象に大きく関わっているようです。

幹-康_どんな特徴があるの?

  • Q
    どんな成果があがった?
  • A
    不快な印象を与える要因として、カオス状態が関係していることが予想できますが、ただ、カオス状態にあるからといって決して不快ではないのです。周期的状態とカオス的状態を行ったり来たりすることで不快感をもたらしているようです。もう少し詳しくロジスティック写像を調べてみましょう。上の図に示した周期振動波形は上下、上下と繰り返す2拍子系の振動ですが、放物線の高さを増していくと4拍子、8拍子と周期は倍々に増えていって、 突然、ランダムな波形つまりカオスに突入します。このような状態変化をうまく作り出してやると、いかにも黒板を引っ掻いたような音を作り出すことができます。上の図は「分岐図」と呼ばれ、白く見えるところが周期振動を現しています。左の大きな窓は6周期振動です。この分岐図の下に示したものは「リアプノフ指数」と呼ばれ、マイナスのヒゲ状の箇所が周期状態を現し、プラスの値の箇所はカオス状態となっています。
3通りの方法で不快音の生成を試みました。


(1) 放物線の高さを0.9から0.95まで直線的に変化。
(2) 放物線の高さを0.91の手前のヒゲの辺りを正弦波的に変化。
(3) 放物線の高さを0.91の手前のヒゲの辺りをランダムに変化。

幹-康_どんな成果があがった?

  • Q
    今後の展望は?
  • A
    こんな不快な音を発生させて一体何の役に立つのだろうか?

    果樹園などで猿を追い払う。
    ヘビメタ系のロックミュージシャンに刺激的な音を提供する。

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