jssd2017 慮るデザイン

オーガナイズドセッション


オーガナイズドセッション(OS)は、デザインやデザイン学に関する重要なトピックスやイシューについて、理解や議論を深めるために設定された特別セッションです。今回のテーマと開催日時、会場は以下のとおりです。それぞれの概要は下部をご覧下さい。


7月1日(土)


OS-A:慮るデザイン
オーガナイザー:岡崎 章(拓殖大学)
ファシリテータ:大島直樹(拓殖大学)
パネリスト:[ロボティックス]小林 宏(東京理科大学)、[義肢補装具]浦田 敦(千葉リハビリテーションセンター)、[家族看護学]服部淳子(愛知県立大学)、[感性デザイン学]岡崎 章(拓殖大学)

OS-B:デザイン研究における記述方法としての「視覚化」
オーガナイザー:原田泰(はこだて未来大学)
パネリスト:横溝賢(八戸工業大学)、元木環(京都大学)、清水淳子(ヤフー株式会社)、加藤文俊(慶應義塾大学)、諏訪正樹(慶應義塾大学)、小早川真衣子(愛知淑徳大学)

7月2日(日)


OS-C:これからの仕組み-国産木材とデザイン
オーガナイザー:杉下哲(東京工芸大学)、水津功(愛知県立芸術大学)
パネリスト:田島信太郎(田島山業株式会社)、佐々木一弘(オークヴィレッジ株式会社)、河口真理子(株式会社大和総研)

OS-D:「キッズデザイン」子どもの安全と傷害予防に向けた製品の研究開発
オーガナイザー:金井宏水(JIDA)
ファシリテーター:平川真紀(JIDA)
パネリスト:西田佳史(産業技術総合研究所)、山中龍宏(NPO法人セーフキッズジャパン)、東京消防庁防災部防災安全課(登壇者未定)、久永文(JIDA)、芝操枝(JIDA)

セッションの概要


OS-A:慮るデザイン

ロボティックス、家族看護学、義肢装具のリハビリテーション学、感性デザイン学から人の心を「慮(おもんぱか)る」とはどう言うことなのかを考えたい思います。人の心を慮ることはデザインするうえで当然のことと考えているはずですが、分野が異なればそのアプローチも異なるはずです。
そこで、
①ロボットというと超人的な存在をイメージしがちですが、「生きている限り自立した生活ができる」ことを保証するためのロボットを考えるとはどういうことなのか。
②義肢補装具を切断者に合わせるために、切断者の痛みや不安感を払拭するために切断者の意見を聞きくが、それが必ずしも最適解にはならないとはどういうことなのか。
③家族が病気になれば、病人へ心が一方的に向かうなど家族間で様々な問題が生じますが、それを修復し、より良い方向へと導く家族看護学の考え方とはどういうものなのか。
④感性評価のためのデザインは、既存の評価法と異なり曖昧な感性を曖昧なまま評価するところにある、とはどう言うことなのか。
という4つのお話しから、各分野の専門家はどのように人の心を捉えようとしているのかを串刺しして見ることで、デザインに活かす知見としたいと思います。
http://omonpakaru-jssd2017.strikingly.com/



OS-B:デザイン研究における記述方法としての「視覚化」

従来の自然科学的研究スタイルを踏襲するだけでは、デザイン領域ならではの研究方法や成果の提示方法としてはまだ不十分なのではないのか。 この問題提起を出発点として、情報デザインという市民のあらゆる生活を横断する実践分野を対象に、デザイン研究の方法、デザイン研究者の役割を再定義してみたい。  UCD(User Centered Design)の重要性が謳われて久しい。しかし、ユーザーに対する研究ほどにデザイナーの営みに対する研究が進んでいるとは言い難い。 さらに、ある瞬間、高い評価を得たデザインも時間の経過とともに消滅する。そのデザインが社会に受け入れらてたことで社会も変化するし、社会の変化の方向に誰が責任を取るかをデザイナーに求めることは困難だ。 デザイン研究の対象は無限に挙げられるが、問題はその研究方法と成果の評価である。どうしたらデザインできるようになるのか。どうなればデザインできたと言えるのか。 そのデザインの価値を誰がどう評価すれば良いデザインなのか、これらの成果から何を学べば「デザインできる」という知や技を次世代に引き継いでいけるのか。 取り掛かりとして、デザインプロジェクトのプロセスや成果の記録・記述方法に焦点を当て、デザイン研究の記述方法について議論する。 フィールドワークや一人称研究のような、活動に関わる人々=当事者に焦点を当てた研究との対比から、デザインならではの記述方法を炙り出したい。



OS-C:これからの仕組み-国産木材とデザイン

国産木材は、生活財はもちろん風土に根差した文化や景観をかたちづくるなど、私達の日常をつくってきたと言える。 しかしながら、利用の減少や森林の荒廃などと言われて久しい。 戦後の不足期から輸入自由化などを経て、工業化などとともに姿を消していき、1980年をピークとした価格の低下、森林・林業に携わる関係者の減少などが続いている。 現在は、戦後に植林した杉や檜などが需要期に入るなか、大きな転換期に入っており、デザインなど諸分野からの貢献が求められている。それは、例えば生産地の声などを聞くと、地域資源としての商品開発などから産直住宅、街づくりなど様々で、デザインの幅広い専門性とそれらの総合性にある。人やモノ、場、時、コトなどを関係付ける環境デザインの方法論や計画論に通じる。 国産木材からデザインを考えることは、これからの私達の生活や社会を考えることにつながるのではないか。 セッションでは、デザインを中心に、国産木材に関わりつくる方々の発表・討論を通して、私達が今日からできることや明日からすべきことなどを考えるとともに、これからの生活や社会などの仕組みの手掛かりを目指す。



OS-D:「キッズデザイン」子どもの安全と傷害予防に向けた製品の研究開発

消防庁+医師(傷害事故データ)⇒ 産総研(分析・研究) ⇒ デザイナー(製品や環境に解決策を再現) ⇒ 社会を変える
 子どもを取り巻く環境は日々変化している。新しい空間が生まれるたび、新しい製品が生まれるたびに新しい危険が生まれる可能性があるといっても過言ではない。人間が造った環境や製品によって引き起こされた事故ならば人間によって解決できるはずであり、デザイナーや開発者はどんな製品や環境においても、必ず子供の安全に対する配慮をしなければならない。
 (公社)日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)の事業系センター委員会の一つであるスタンダード委員会・キッズデザイン部会では、産総研、小児科医の山中先生、東京消防庁と一緒に、子どもの傷害事故を未然に防ぐための製品や環境づくりの研究に取り組んでいる。
 自転車による事故が多いのは容易に想像がつくが、お風呂やミニトマトで毎年何人もの子どもが命を落としていることはあまり知られていない。ミニトマトやぶどうは、丸ごと食べさせると喉に詰まり死亡に至ることがある。このような悲劇を繰り返さないためには、まずこういう実態を広く周知させること、次は事故を予防するための道具の開発が重要であると考え、ミニトマトやブドウを半分にカットする道具の開発に2年以上かけて取り組んできた。今回は、その試作モデルが数種類出来上がっているので、それらを披露しながら研究の過程と成果を発表する。