FACULTY OF ENGINEERING
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回路設計支援・ロボティクス

高橋丈博教授

回路設計を支援する
Q
なぜ、研究を?
A
情報工学科では主にコンピュータに関する勉強をしますが、コンピュータに関する知識としては、それを操作するソフトウェアの技術と、その仕組みを知るハードウェアの技術があります。
ハードウェアでは電気や電波を正しく伝えたり、動作するように回路を作ります。このような回路を作るにはコンピュータの支援が必要で、多くのソフトウェアが使われています。その中でも電気的、電磁的な動作に関する設計支援の研究をしています。
回路設計支援・ロボティクス1
回路設計支援・ロボティクス2
Q
どんな特徴があるの?
A
複雑な回路を考えたり設計したりしても、実際に作ってみるまでは動くかどうかわかりません。
しかし、実際に作るには時間やお金、労力がかかり、簡単な話ではありません。そこで、動作をコンピュータ上で模擬するための、「シミュレーション」という技術を使い動作確認や問題点の検証を行います。

「シミュレーション」というのは、様々な分野で使われている技術で、回路設計の分野では、回路の動作を確かめるための「回路シミュレーション」、電界や磁界の振る舞いを調べるための「電磁界シミュレーション」などが使われます。図1に電磁界シミュレーションの表示例を示します。

私は、これらの回路シミュレーションや電磁界シミュレーションを使って、ハードウェアの中で生じている電気的、電磁的なトラブルを調べ、どのように問題を解決したらよいか、どのように設計の支援に結び付けるかなどを研究しています。
図1 電磁界シミュレーションの例(CST MWStudio)図1 電磁界シミュレーションの例(CST MWStudio)

Q
どんな成果があがった?
A
電子機器の回路は、たくさんの部品が配線で接続されて構成されています。
部品や配線はお互いに電磁的な干渉を起こすため、干渉が生じにくいように部品を配置したり、配線する必要があります。このような作業は、部品や配線の数が膨大なため、人手で行うのは困難なので、効果的なアルゴリズム(プログラムにおける手順)を使って処理をすることが必要です。

我々は、部品配置や配線のアルゴリズムに、電磁干渉のパラメータを反映させたプログラムを開発し、よりトラブルの少ない設計ができる手法を提案しました。
図2 自己組織化を用いた自動部品配置図2 自己組織化を用いた自動部品配置
プログラムを開発
Q
今後の展望は?
A
電磁干渉の種類は様々で、考慮しなければいけないパラメータが数多くあります。
これらは主に部品や配線の位置関係によって影響をうけます。また、動作が逆の干渉を使って、お互いを打ち消すといった手法なども知られています。このような様々な電磁干渉を低減するテクニックを、自動的に反映するような設計システムを構築してゆきます。