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工学日本語
小林伊智郎准教授

日本語教育の多様性

国際交流基金の「2012年度日本語教育機関調査」によると、世界136の国と地域で、約400万人の人が日本語を学んでいるそうです。 たいへんな数ですね。しかし、もちろんその人たちの日本語のレベルはさまざまですし、同時に日本語学習の目的もさまざまです。 そのような多様な学習者に対して、教員は同じ教え方をしているわけではありません。

学習者がどのようなバックグラウンドを持ち、何のために日本語を学ぶのか。 そして、学んだ日本語を使って、何をしたいのか。こうした学習者の過去、現在、そして思い描いている未来を、日本語教員は把握して、最適なコースを提供します。 そのような業務に向き合う中で、わたしは二つの研究テーマに取り組んでいます。

①専門日本語教育:「工学日本語」の教材開発

工学部に所属している日本語教員として、「工学部の留学生にとって必要な日本語能力とは何か」というテーマに向き合っています。 このように、特定の専門分野を学ぶための日本語教育を、専門日本語教育といいます。わたし自身は文学部の出身で、工学系の知識はほとんど持っていないので、工学系専門日本語教育の実践には、専門教員の協力が欠かせません。

学生のニーズと教員のニーズを調べ、これまでに「実験レポートの書き方」などの教材を開発し、実際に使っています。 今年はインドネシアのダルマプルサダ大学で行われたCADの集中講義に参加し、CADにかかわる日本語を短期間で紹介する機会に恵まれました。 今後は、このように専門性が高い科目を支援するための教材も開発したいと考えています。

②日本語の諸相と移り変わり:日本語教科書の日本語の研究

日本語は使う人の年齢や性別、職業によって違いますし、受け手を含んだ「場面」にも影響を受けて変化します。時代によっても変化するでしょう。

日本語の教科書は、どのような日本語で書かれているでしょうか。 おそらく、実際に使われている日本語をそのまま反映してはいないと思います。 教科書の日本語は編著者が学習者に「使ってほしい」と思っている日本語です。 日本語の諸相や移り変わりというものを、実際に使われた日本語をサンプルとして調べ、記述することも有意義な研究だと思いますが、「使ってほしい日本語」を記述することは、その時代の日本語専門家の言語感覚を明らかにすることにつながり、たいへん興味深い研究です。

それを通して、今を生きるわたしたちは、現代における「正しい日本語」を知ることができると考えています。

工学日本語 小林伊智郎准教授

本学が編集した日本語教科書

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