FACULTY OF ENGINEERING
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流体工学

藤本一郎教授・平野孝典准教授

風力発電に挑戦しよう!
Q
なぜ、研究を?
A
最近、地球温暖化が問題になっています。温暖化を抑制するためには、二酸化炭素の排出を減らすことが必要です。
 自動車の排気ガスをきれいにすることや工場からの煤煙をきれいにしてから排出することも重要なことです。
しかし、石油や石炭のような化石燃料を使う限り二酸化炭素の排出は止めることはできません。 また、化石燃料自体が無限に存在するものではなく、将来は化石燃料にたよることができなくなる可能性もあります。

では、どうすれば良いのでしょうか。
その答えの一つは、できるだけ化石燃料に頼らないエネルギーを利用することです。

つまり再生可能エネルギーを利用することです。再生可能エネルギーには、太陽光、地熱、水力、風力などがあります。 これらの中で、風力を利用し風力タービンを回して発電する風力発電は、世界の多くの国で採用されています。
世界最大7MW風車(NEDO、三菱重工)世界最大7MW風車(NEDO、三菱重工)
最近イギリスでは、プロペラ型の超大型風力タービンが設置されましたが、そのプロペラの長さは80mもあります。(ちなみにこの風力タービンは日本製です。) このように大型の風力タービンを使用する傾向が世界各国で高まっています。

しかし、大型風力タービンによる大規模発電は必要なのですが、地域分散型発電も必要なのです。 これは小規模発電を行って、小さい領域(たとえば数軒の家庭が共有する、一つの町の電力を供給する、一つのビルの補助電源として使用する、各家庭用の電源として使用する)の電力をまかなうことです。そのために適した風力タービンの一つにジャイロミル型風車があります。

これは垂直軸型風車の一つで、風向きに依存しませんし小型化も可能です。

しかし止まっている時に風が吹いて動き出すための起動性能があまり良くないので、機動性能を向上させるために必要な工夫について研究を試みています。
ジャイロミル型風車
Q
何処がよいか
A
小型化ができ、使いやすい。
ジャイロミル型風車は小型化ができ、風向に左右されないので日本のように山が多く、めまぐるしく風の向きや風速が変わる場所では使いやすいことがあげられます。

また、たとえば高層ビルなどで使う場合は、屋上に設置するだけでなく壁に取り付けて使うことも可能です。

機動性能が向上して使いやすくなれば、もっと普及することが期待できます。
ジャイロミル型風車は小型化
Q
どうやって調べているか
A
ジャイロミル型風車の機動性能を向上させるということは、できるだけ低い風速で回転を始めるということです。
そのための工夫として、翼枚数を変えてみる、翼の取付角を変えてみる、翼の大きさを変えてみる、などが挙げられます。 このような条件に対して、実験と数値解析の両面から性能を調べる研究を行っています。

実験方法としては、

① 風車模型を製作して風洞実験により翼にかかる力を測定する
② 水中に風車模型を入れてインクを流しその様子を高速カメラで撮影して流れを観察・解析する
③ パソコンで風車周りの流れの数値シミュレーションを行い風車の性能を解析する

という方法を使っています。風車模型の製作では、3Dプリンタを使って一体型の風車模型を製作しています。
① 風洞① 風洞
② 流れの可視化に使用する回流水槽② 流れの可視化に使用する回流水槽
③ 数値解析による風車周りの流れ③ 数値解析による風車周りの流れ
Q
流体工学研究室では
A
一緒に社会の役に立つ研究、楽しい研究をしましょう。
流れの研究はもちろんですが、私たちの研究室では他にもいろいろなテーマの研究を行っています。

たとえば模型飛行機用ジェットエンジンの自動運転システム構築と性能試験、最近話題になっているドローンの飛行性能試験、小型送風機の性能向上を目指した研究、そして電気自動車の製作や性能試験なども行っています。

研究では実験装置や計測システムを学生が自分たちで設計して製作・開発します。 流体工学研究室では実験と解析計算の両面から自然現象をより良く理解し工学の基礎知識や経験を深め応用することを目指しています。
製作した電気バイク ①製作した電気バイク ①
製作した電気バイク ②製作した電気バイク ②