機械力学
鈴木保之教授
振動の制御
Q
なぜ、研究を?
例えば、地震による揺れを小さくするために、写真[1]の新宿三井ビルディングでは屋上に6基の大型制震装置TMD(Tuned Mass Damper)を設置して、長周期地震動に対する揺れを半分以下に低減しています。
写真[1]に見える6個の骨組み構造の内部は、図[2]が示すように300トンの重りとダンパー(減衰装置)からなる振り子です。
![写真[1] (引用[1])](/albums/1447/abm00006733.jpg)
![図[2] (引用[1])](/albums/1447/abm00006732.jpg)



何処がよいか
振動を小さくするためには、バネとダンパーの大きさをいろいろ変えてみて設計を繰り返す訳ですが、これらの役割を形状記憶合金(SMA)アクチュエータにさせてみたら,TMDの性能をもっと高めることができるのではないか、と考え制御理論を振動の低減に応用しようとしています。SMAアクチュエータというのは、ワイヤー状のSMAに電流を流すとジュール熱が発生してSMAの温度が上がり、その結果、ケーブルの長さが縮むという原理を利用しています。
私たちは、単振り子を実体振り子に換えるとともにこの実体振り子にモーメントを作用させるためのSMAワイヤーを設置して、その長さを最新の制御理論に基づいて時々刻々変えていけば、より高性能なTMDを作れるだろうと予想しています。
造ったモノ
今年の卒業研究で、ステンレスの物差し(高層ビルのつもり)と実体振り子で、動吸振器の実験装置を作っています。現在の研究
実験装置を作ると同時に、制御系の設計をするために、振り子と物差しを数学モデルに置き換えて数値計算でTMDの性能予測をしたり、 またSMAアクチュエータを自由自在に操れるように、SMAの振る舞いを微分方程式で表すとともに、実験によって正しいことを確かめたりしています。引用[1] : http://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2015/0514/index.html