FACULTY OF ENGINEERING
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ユーザエクスペリエンスデザイン

森岡 大輔 准教授

デザインと福祉工学を融合したものづくり
Q
どのような研究をしているのか?
A
ユーザエクスペリエンスデザイン (UXD) 研究室では「人が嬉しいと感じる体験を実現する製品デザイン」を提案しています。
一言で「製品デザイン」といってもその意味は広義です。製品本体の設計以外にも、製品を使用する側の人、使用される側の人の双方が嬉しいと感じること、またその製品を作る (提供する) 側の環境も意識したものづくりをおこなっています。
Q
現在の研究は?
A
大きく以下2つの研究を進めています。
○ 脳卒中などによる片麻痺など後遺症発症者を対象とした『装具を製作するシステムの構築』や、不慮の事故や疾病等による四肢切断者を対象とした『AIを搭載した筋電義手の開発』に取り組んでいます。いずれの研究についても、デジタル技術 (CADやシミュレーション解析) 、AI技術などを活用することで従来の製作過程や製品使用時のアクセシビリティを大きく変えることができると考えています。

○ 杖、手すりなど歩行補助器具、また食事で利用するスプーンなど、高齢者を対象とした福祉用具の設計に取り組んでいます。これらの福祉用具に人間工学的側面からアプローチすることで、製品のユーザビリティ向上を目指します。また設計した製品に対して、力学的評価と官能評価の相関性を見出すことで使いやすさ(使いにくさ)の定量的評価などもおこないます。
図1 デジタル技術を応用した装具設計システムの概略図図1デジタル技術を応用した装具設計システムの
概略図
図2 力学的評価のできる手すり図2 力学的評価のできる手すり
Q
なぜその研究が必要なのか
A
福祉用具について、使いやすい形状の設計などはおこなわれていますが、力学的評価に基づいたものはあまり多くありません。
また装具については「装具が装具利用者をどの程度支援しているのか」を直接的かつ定量的に計測されたことが無いことから、装具の厚みや形状は医師や義肢装具士の経験により決められています。つまり処方基準が確立されておらず、また現在の製作手法では破損等生じた場合、同一形状の装具を製作することは事実上不可能となっています。これらへのアプローチとして、人間工学やデジタル技術などを応用することにより製作者側・利用者側の双方にとってより良いものづくりができると考えているためです。